映画「二流小説家・シリアリスト」

半ドン、庭の手入れと借りたDVDを観る。

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「二流小説家」は原作がアメリカのミステリー小説だそうだ。面白いストーリーは明かさないが、母性や死生観について結構ずしりとくる内容で、舞台を日本にしてツインピークスみたいな猟奇趣味を散りばめて上手くいった感じ。

主演の売れない小説家役の上川隆也と、彼に自伝執筆を頼んだ死刑囚役の武田真治がよかった。

素直に犯人はわかるし、小さなどんでんの後の展開も読めてしまうことを差し引いても、役者がよかった。

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着せ替えブログを貫く本流のひとつはこれなんだが。映画の後半、大きな穴が出てくる場面を観て、ああ私は克服したんだわ……と腑に落ちた。

私が小5のとき、父が土地を購入して家を新築した。ランドセルをしょって、大通り沿いの正面門から帰宅すると、2人の人足が穴掘りの途中で、玄関までの順路をほぼ塞いでいた。

おひまですか、おひまなら遊んであげますよ……穴から細面の中年男が顔をのぞかせ、ぬうと日に焼けた腕を伸ばし、私の腕をつかんだ。もうひとりの小男は穴に潜ったままなのが見えた。

新居の母は留守で、父は隣の建物で仕事中だったか、あるいはまだ通りを隔てた借家で残務処理だったのかもしれない。

私はとっさに大声で叫び、隣家の大学生が聞き付けて飛んできた。大学生はいつも帰宅時間が私と同じくらいで、家教バイトをしていた。あとの記憶は抜け落ちている。


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中学に上がると、隣の大学生が教育実習生で来た。8つ年下の私は見慣れていたが、同級生の女子は素敵素敵と大騒ぎだった。

お隣さんと階段ですれ違うと、ブルマ姿の私をしげしげと見て立ち去る。ある日、呼び止められた。

「おばあちゃんが庭で倒れた時も俺がいたんだ。何かあったらまた、大声を出しなよ。中学生じゃ難しいだろうけど、自分の身は自分で守るんだ」

子どもを産み終えても、うでにまとわりついたジメッとした感触は消えなかった。向こうはべつに乱暴する気などなく、小さい女の子を構ってからかいたかったのだろう。お愛想を言ったつもりかもしれない。

しかし実家に顔を出すたびに、コンクリートで固められたカーポート下の地面が大きく口を開けているような気がして、勝手口から出入りしていた。

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3年前、水道管工事で家の前の砂利道が通行止めになっていたとき、大勢の人足が通って来ていた。買い物帰りの私は嫌な気分になって、なるべく端を歩こうとした。
配管だらけの深い穴から、シワだらけの長老が顔をのぞかせ静かに言った。

「奥さん、こっちの板の上を渡って下さい。ここはひとつ抱きたいところなんだが、儂が抱いて運ぶと、あとで何かと問題になるでしょうから」

若い人足の間でどっと笑いの渦が起こり、私も腹を抱えて笑っていた。

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by kimawasanai_2 | 2015-11-05 15:04 | 始めたわけ

着まわせない主婦が組み立てる、ワードローブ