テラコッタ×デニム×ダスティピンク

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50センチのゴールドチェーンネックレスとスカーフは偶然、カルダンビンテージ。


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柳行李(やなぎこうり)

深夜に友だちとメッセージをやり取りする。
「お姉さん、わたしだって日本国内のかたなら結婚する意思はあります。職種に偏見ありません」
「でも、ねえ。エッチは月いちどで済ませたい、毎週毎にV系ライブに通わせてもらえる……そんな条件の嫁ぎ先なんて、あるわけないでしょう?」

「ウフ、草食系男子を探してみます」
「そうね、あなた自立してるし」

結婚を焦っているわけではないのが伝わって来る。時折顔を合わせる母親の干渉に疲れて、母親と離れたいだけなのだろうと思う。


実家の母は、2度目の出産を終えた私のベッドの柵に手を掛けて
「よくやったわ、もうしなくていいのよ」と囁いた。とっさに、もう打ち止めという意味なのか、セックスしなくて良いという意図なのか分からなかった。

母親は長女の性を支配したがるという内容の著書を既に読んでいたので、どちらでも驚きはしなかった


私が中学のとき、父の地響きのようないびきに業を煮やした母は、「ちっとも眠れやしない」と叫び声を上げて2階寝室から階下に避難した。仲の良い夫婦なのでそれも短期間の事だろうと思いきや、長引いた。

父のベッドの隣には母の替わりに、嫁入り道具の柳行李が横たわるようになり…いつしか母が90度たてかけたままになっていた。

ここまで状況が長引くとは…と驚いたのは、私が2階寝室から電話をかけるたびに横目で見やる行李に、うっすらと白い埃が積もり、やがて白は柳の編み地を埋め尽くし、肉眼でうごめくダニが見えるようになったからであった。

母の幼稚な腹いせにも呆れたが、そんな隣で眠れる父の神経も疑った。結局、状態は内装業者が入るまで続いた。


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父は階下で年の離れた母を可愛がりはしたが、蠢めくダニは私の脳裏から消えなかった。
「女児ばかりでお袋さんの、無言の拒絶だったんだなあ」と、私の夫はつぶやいた。


「お姉さん。行くかどうかは当日に決めるけど、しょうへいさん見たいです」
「しょうへい君のまえにおいで」

ランチをとる夫の膝に手を掛けてひたいを擦り付け、鼻先で割入って突き進んでゆく。
「お夕飯置いて出掛けたいの」

私たちは蕩けるようなキスや交接よりも、遥かに気持ち良いことを知っている。



柳行李(やなぎこうり)
(了)

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by kimawasanai_2 | 2016-09-26 20:05 | バランス考察

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