さんぽみち

a0263388_12214990.jpg
連休中も子は英検や学校説明会の手伝いで早起き、私は駅まで送り込んだ足で実家に向かう。朝寝坊の両親が雨戸を開け放つ時間に合わせて、散歩がてら隣町のスーパーで買い出しを済ませる。

水流が速く、綺麗に整備されていて驚く反面、昭和の趣が消えてがっかりした。半世紀ほど前は蛇下りと呼ばれ、誰もが立ち入る生活用水路だった。夕暮れの洗濯に集う女の井戸端会議に、好奇心で立ち寄った母と10才だった私はおののいた。

オムレツを焼く母に「パパ達が起きるまで蛇下りで時間を潰したら、白萩のある家が素敵で」と撮った画像を見せると「あなたは懐かしいのね、今の散歩道よ」と笑われた。


私は好奇心から用水路を抜けて、高台の住宅地へ進んだのだった。決して折れまいと心に決め、笑いながらやり過ごす2年間は瞬く間に過ぎた。当初あと半年もすれば醒めて飽きられると、のんきに高をくくっていた私は、見ず知らずの誰を幻滅させて来たのか。
黄色いロープが張られた貯水池の淵に、野イバラの樹を見つけ安堵する。様変わりした住宅街にも、野趣はのこっていた。

当時、大店の屋敷が見おろすようにして建てられたボロアパートとの、落差が凄かった。家賃が銀行振込ではないから、アパート大家から「あの別嬪さんは…」「若者は東北の…」などと、いわゆるよそ者の情報は漏れ伝わって来た。

母は36、裏の店にいた2人の職工は25才前後だったろう。街の勤め人は26才ぐらいまでに身を固めていたので、今の自分にはそう思えて来た。ひとりは精悍な肢体の快活なギター弾き、もうひとりが童顔で口数の少ない格闘派、アパートから通う若者達だった。店のパーキングが通学班集合場所で、趣味や特技の自己紹介があった。

新居の水道工事で断水の間、母はアルミのやかん片手に、裏手まで飲み水をもらいに通った。珍しく、母に頼まれてやかんの水をもらいに行くと、口数少ないほうの職工はハッと眼を見開いてうつむいた。10才児にも(私でがっかりしたんだな)とわかった。


「兄ちゃん元気なかった。ママ、もう36なのに」
「ホホ。結婚したら国に帰るって、親方が言ってた。皆あの店へ修行に来て、親のあとを継ぐんですって」

それが結婚して北に帰るという秋、男は大けがで救急病院に搬送されて、うわ言で母の名を口にしているという。若い女は電話口で困惑し、来るように頼んだらしい。母は「お大事になさって下さい」と答えるばかり。忙しい母は偏屈な親方の店に長居せず、いったいいつ名を知ったのか私は不思議だった。


口達者なほうに名前を訊かれたことがあったのを、運転中に思い出した。
「お父さんは知ってる、きみは?お母さんの名前は?」

母はリハビリ散歩で白萩の高台へ向う度に、思い出すのだろうか。





a0263388_12221929.jpg
ヒメソバの植物画に取りかかる母が、
「あなたが花を1センチに拡大スケッチしたものを、ママが真似して描くから…花弁をピンセットで避けて、正確に雌しべを描いてよ。雄しべの本数が6か7か…なんだか私のやりたい趣味から遠ざかってく気がするけど……またデタラメ描くと、添削で"牧野富太郎先生の図鑑を買え"って叱られちゃう」

そして私の鼻先に、父が買って来た厚切り上ネタ寿司折りを「描くまで食べられないよ」とちらつかせる。両親の前で無心に描いた。


「カッター縦断裂すれば雌しべがより良く…」と母が言いかけたので、逃げた。




a0263388_12224685.jpg
ナスと厚切りベーコンのトマトソースパスタ
谷中生姜とシシトウの天ぷら
トロマグロきゅうりボート




a0263388_12225159.jpg
ご飯
いわしつみれ揚げボールと空芯菜の炒め物
餅巾着入りポトフ
ぬか漬けきゅうり
きんぴらごぼう
丹波の黒豆




a0263388_12230674.jpg
ご飯
赤から鍋(豚バラ肉、油揚げ、きのこ、セリ、モヤシ、九条ネギ、豆腐)
まぐろの刺身
サラダ
洋梨




a0263388_12232139.jpg

コンニャクと焼エリンギの和風チーズフォンデュー
バゲットとミニトマト
洋梨マリネ

[PR]
# by kimawasanai_2 | 2017-10-10 20:05 | 更年期のらりくらり

ロングカーディガン

a0263388_13052159.jpg

宮城美術館アリスの庭にて、パチリ。ナチュビューの亜麻色ロングカーデ、青緑色ハイウエストパンツ、ロザエのグレーカシミアストールとグレー型押しバッグ。
地元の人が「今朝、初めてニットを出して着た」というくらい冷える。



a0263388_13053765.jpg
中国人で混み合う可愛いバスは20分置き走行、一周(ただし片道方向)70分ほど。主要な観光ポイントを乗り放題の一日乗車券なら、入館料一部値引きなどのお得感たっぷり。


a0263388_13054496.jpg
ママ友ランチや商用で、美術館内カフェのみ利用する人もいる。本棚に向かって横に並んで食す人たち、ラブチェアからてこでも動かない人。デザイナーズチェア好きにはたまらない。こってりドウノワーフラザニアとアイリッシュコーヒー。




a0263388_13060418.jpg
夕刻は電力ビル入り口裏手のティールームへ。ラベンダーミルクティーに、熱々サクサクのスコーンと自家製イチジクジャム。至福のひととき。


a0263388_13061848.jpg
夜はライブを観ない友だちが(汁ダクの音源持参)入り口でお出迎えしてくれた。18:00スタートが迫り、ゆっくり再会を喜び合う間もなく、記念撮影と互いのアクセサリーを取り替えっこ。白桃みたいな頬に吸い付いて、彼女の肩越しに見た景色は今も褪せない。

ヘイトクライムリキッドアンミュレ。やっとLOVERSが聴けて、来た甲斐あった。
20:15の終演後も出口で私の名を呼ぶ声がするじゃないか。お見送りされて、最終はやぶさで深夜帰宅……指定席がとれず、デッキで死ぬかと思った……。





a0263388_13062456.jpg
お土産は白松が最中ミニの単品、ずんだチョコ、仙台限定の紅茶など。そしてアンミュレ無料配布音源。

[PR]
# by kimawasanai_2 | 2017-10-07 20:05 | 美意識をやしなう

朝は靴下から

a0263388_14272778.jpg
三者面談にジンジャーエールのストライプシャツと、ヒューマンウーマンのボリュームチノスカートで。素足ではいられぬ季節、寝起きの頭は靴よりも(どの可愛い靴下を履こうかーー)でコーデを決める。靴下の底に丸い穴が開いていて、床ストレッチで滑らなくてベンリ。

先月の文理適正テストは予測通りの結果だった。家から通える公立に進学して欲しいので、受験科目に数3と応用化学のない学部学科を教えてもらう。


担任はバリバリ理系なのに、公認会計士の資格を取得して以来、OBOGの資質を見抜き「やるべきことをやれば、計算はさほど難しくない」と国試指導に当たる後進育成で通過させた(!)というのだから、(多忙を言い訳にしない姿勢に)ひれ伏す。

倒れないかと心配なくらいスレンダーだが、父兄宛ウェブに生徒の日常をマメにアップしてくれる……加えてマラソン、登山にボランティア活動の超人っぷり。そのくせ早婚……仏様の生まれ変わりなんだろう…子を持つまで知り得なかった感覚だ。





a0263388_14274095.jpg
アサリのトマトリゾット
ぬか漬けきゅうり
小松菜とベーコンの中華きのこ炒め




a0263388_14280692.jpg
ちり鍋
鶏ボールの素揚げ
ほうれん草とじゃこの胡麻和え
トマトサラダ



a0263388_14281551.jpg
野いちご模様の靴下に、グッチのビットモカシン。コーデュロイパンツにトップスもベリーカラー。今朝の冷え込みに、ロンダスタークのミニスカ兼用ケープ。
連日のル・クルーゼ鍋ネタで夫が発狂し、昼はいきなりステーキに連れて行かれる……次はいきなり300グラムにするぞ。




a0263388_14291216.jpg
だらりんちょススキとハクチョウソウの伐採。コンテナを秋の花に植え替え。刈り込んだ生け垣に、鳥たちが大挙して入り込んで来た…(いつ刈り込むんだろ)って、見張られてたぽい。

[PR]
# by kimawasanai_2 | 2017-10-05 20:05 | オシャレ小物

a0263388_16355827.jpg
母が大昔の土産物を琥珀と勘違いして、長崎のべっこうチェーンを寄越した。
地味だが似合う。パールネックレスと合わせて。2日間の疲れが顔に出た。



昨夜のコンサートは雨天、会場を境内から結婚式場に移して行われたのが幸いした。
小柄で華奢な支部長の少女顔に、尖った琴爪の取り合わせがなんともアンバランス。
「象牙で出来ているの、ここの部分は猫の皮」
間近で見たのは初めて、ex.巫女さんに引っ掻かれてみたーーい。

あのネ、ってコショコショつぶやいて「息子たちです」とか、「うちの主人です」とか背の高い男を引っ張ってくるのが、可愛い。



前任役員が食中毒を危惧して「お弁当は断るのが礼儀」というのを完全無視。帰りに秋めいた弁当が配られ、(前例が出来て)うるっと来た。





a0263388_16363502.jpg
実家が仕出しをとらない火曜に、アジフライ弁当を届けた。
虫の声、荒城の月、楢山…和楽演奏からオペラに至るまで、秋の歌尽くしで素晴らしかったと、ようやく実感が涌いて来た。




a0263388_16370329.jpg
実家から職場へと向かう途中スーパーで買い出しを終えると、車のバッテリーが上がり、隣に停めた男性にケーブルをつないでもらった。エンジン切らぬまま、最寄り店で無事にバッテリー交換。見ず知らずの人のお陰で、遅刻しなかった。

[PR]
# by kimawasanai_2 | 2017-10-03 19:05 | オシャレ小物

a0263388_12512508.jpg
5時起きでPTA研修バスツアーに参加した。その前夜、団員に「月曜は発表会だから、鎌倉横浜で頑張りすぎないで」と釘をさされた。

八幡宮は車中参拝で済ませたいので、自己紹介で「小町通に直行して、趣のある日本家屋の美術館でのんびりしたい」と予防線張る。偶然にも、明日の演奏会でお琴を弾くという支部長と隣り合わせ、私もそこに行きたいといわれる。
パーキングで「私達も連れてって」と声掛けられ、ツアコンと化す。

道すがら蕎麦屋でおじいさんのそば打ちを見る。残念なことに、大飯店の飲茶ランチが控えてる。
エントランスに続く紅白の萩とシュウメイギク、庭には入れない。鎌倉駅からは小町通りを抜けず、反対口の銭洗弁天側から入るとスイスイ。



a0263388_12513839.jpg
右が観た企画展のパンフで、左が今月末からの特別展。この差をどう思われる?どうしても華麗な「ザッツ文化勲章」の左に眼がいく。

でも彼女達は実物の画材に見入り、タッチパネルではしゃいでいた。
「挿絵で稼いだお金を、こっちの大作につぎ込んだのね」
「お坊ちゃまだったから、農民が珍しいんじゃない?」
「綺麗な奥さん、お婆ちゃんになっても凄い」
「良家の子女が多い?いつもこんな妻と娘に囲まれてたら、そりゃ描くわ」
「おじいちゃんが好きなの?」
「……娘達にエグいのが嫌がられて、人魚図を隠したんだよ」



3年ぶり逢瀬に、思いがけず人がついて来たようなもので。ゴス女の私が(今回は挿絵と夏の家での出来事の絵巻物やスケッチという小品メインの企画展、奥様たちには物足りないのでは…と)ちゅうちょしたのも致し方ない。





a0263388_12515696.jpg

無事終了、支部長に「また明日」と別れた。共通の知人友人の、意外な一面を知らされて驚いたり驚かせたり。
「あの(偉大なる)先生が、何であなたたちの顧問でいるのか不思議キャハ」
にくたらしくて可愛いひとに弱い。

気の合う友は4人もいれば充分だし、いちばん大切なものは何かってわかっている人だからと、私を死ぬほど甘やかす親友はひとりで良い。

先週も夜のスーパーで団員に「また明日」と言った。ようやく受験生がいなくなり子育てがラクになったのにもよるが、今まではお客様で済まされていたところを、アラカンに恩返しする責任が生じたのだ。





a0263388_12521296.jpg
夜会へ。ピンクの衣装注文計画は頓挫し、ここに所属する限りこれだ。10ン年前に小学校PTAが着古したこれを、同じ系列の合唱団体に貸し出してもいる。独特の金属臭がよみがえる(泣。

「水洗いなんてそんな恐ろしい…消臭スプレーよ」とマダムたちが、着回してたわけで。バーカ、振り洗い出来るんだよ。

[PR]
# by kimawasanai_2 | 2017-10-02 20:05 | 美意識をやしなう

着まわせない主婦が組み立てる、ワードローブ