車内は暑くて室内は寒い。ラルフのタイツにロートルショーズのサンダル。
ギンガムのワンピース×さくらんぼトートバッグの柄同士を緩和する綿麻のカーディガン。てろてろカーデが増えすぎてベージュを処分した。
スパゲティミートソース
ナスの蒸し焼き
パイナップル・カスタードパイ
あなたに似る人 (一)
地階でタラの西京焼弁当を選び取ると、私の横から同じハーフサイズの弁当をすくい上げる指が目に留まった。
(末端肥大だな)と、そのまま足元に目をやると、予測通りノウズの長い革靴だ。
視線を上げた先には身長180センチほどもある痩せ型の青年が、私の手元を睨みつけている。
とっさに青年のキャンバス生地のブリーフケースを見て凍りついた。背抜きのスーツは紺ではなくて茶系のストライプだ。
あのときは前髪をムースでオールバックに流していたのに、今の殿下は前髪をふんわり下ろしているから若く見えた。
(真似したんじゃないわ、あたしが先よ)と吐き捨てたいのを抑えて言った。
「それだけで足りるんですか?」
「あなたもね」