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太ゴールド、太ゴールド、細ゴールド

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海島綿のシャツと黒いストライプパンツに、ニナリッチの貝殻チョーカー×バングル×パピヨネのフープイヤリング。


夫「エルメスの革チョーカーとバングルは?」
私「まだ痩せてた時に外れて、どこかに落としてきたーー」

夫「バングルってもんに意味あるのか?」
私「さあ?隷属の歴史とか…」(バンギャは極太幅じゃないと)。

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銀行の学費融資担当を、手ぐすね引いて待つ…金ピカは外そう。



デンツ (四)
征三朗さんはお母様よりも親指が長いので、指先に遊び寸がなく、よりフィット感が増します。あの指が、初めて私のなかに入って来た日の事を未だに憶えています。

ぺしゃんこの二次元から、いきなり生命を吹き込まれ膨らみかけたおののき、立体裁断なぞない伝統に、けれども確実に三次元へとこの身が変わっていく瞬間。

親がいるわけでもなし、誰に教えられたわけでもないのに、若い小枝の侵入に白い裏地が真綿のように締め付けにかかり、晴れて私は征三朗さんの柔らかき鋳型となったのです。

征三朗さんが2年に進級し、新入生がサークルに入ってくると、他の上級生と交代で新歓コンパの送迎をかって出ました。
4人乗りの車にそれ以上が乗り込み、みんな大笑いするたびにバックミラー越しに、長い髪と白い富士額の少女が写り込みます。

無口な征三朗さんの瞬きを見て私は、いつもと違う予感がしました。受験で一浪して上京した後輩は興子というのですが、祖父母の家から通学しています。
飲み会の時の門限は22時という条件で入って、秋の文化祭が終わる頃には、車の助手席は興子専用となりました。

「おここ、サイドミラーお願い」
細い道で対向車とすれ違うときは手動で銀のミラーをたたまなければならず、興子は自分の方に引き寄せながら、手元が狂ってよく笑います。

「アウチッ!うぅ…」
「えっ、はさんじゃったの?手袋してて良かったわね」

「いや何ともない。手袋が引きつれたから、俺の皮膚まで引っ張られた気がしただけ」
「少しは手袋の身にもなってみてよ」

「考えたことないや」
「征三朗くん、それじゃ詩人は無理ね」

私は興子の桜桃の頬や静脈の透けて見える首筋、ブラウスの胸元をはだけさせた浅い谷間を、まだるっこしそうに滑り降りてゆきます。
もし征三朗さんの元に来なかったら、女性のやわ肌に弧を描く……などという経験はないでしょう。

小さくイヤイヤしていた興子も、終いには喜悦の声を漏らすものですから、若い男女の欲望は理解しかねます。

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夕べは夫の54才を湯豆腐で祝った。

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エビフライ、豚薄切り肉の野菜ロール、サラダ、シジミ汁。


by kimawasanai_2 | 2015-09-08 14:33 | オシャレ小物

着まわせない主婦が組み立てる、ワードローブ


by kumadori