高校生がクローゼットを指差して「なに?このヤヴァい服……」と訊く。
私が反面教師で、娘の出で立ちはGUメンズワゴンで漁った化繊シャツにパンツ。突飛でもないバランスは女の子らしさを際立たせる。
WALLETポイントを薔薇のトワル地に替えた。布山にしない為に、頭の中でピンク端切れも寄せ集めた。
ヴィヴィアンのトワル地が好きだった。
ギャザー上段に和柄の梅あられ、中段にビザンチン模様も配して。
ロイヤルハワイアンのアーケードには、アメリカの服とキッチン用品。
そこに海外通販のブライズメイドとラウンジウェア趣味をぶち込んで………。
布をどの位置で重ねれば二の腕が目立たないのか、合印に手間取った。
注文服はトラウマになっている。
子供時代、昭和のデパートにはまだモノが無く、粗悪な既製服よりも手頃なセミオーダーの時代。
街ではドレメやテーラー、モダンな縫製工場が幅を利かせていた。
毎年、ピアノ発表会の衣装が恐怖だった。
父が生地屋に反物をもらうと、サイズ計測して、縫製工場に持ち込み縫ってもらう。
蚊とんぼ体型も相まって、春に仕上がるワンピースはショボかった。
過度な期待はするまいと思っても、パジャマのほうがマシな四角衣に泣いた。
伯母と祖母が縫ってくれるのも、用尺の少ない奴さんドレスばかり。
初夏の発表会で同級生にいわれた。
「何で、そんなにみすぼらしい服なの?」
スイカ